自生するってすごいやん、スズラン群落 − 宇陀市向渕(むこうぢ)

by Akiko

今年は桜もツツジも何もかも早く満開を迎えた。こちら向渕の原生スズランも5月半ばに咲き始めたと聞きつけ、早速カメラ(iPhone!)を抱えて散歩に出かける。毎年5月下旬から6月上旬に満開を迎えるが、年によって前後するとのこと。機を逃さぬよう、しっかりアンテナを張らねばない。写真は5月18日に撮影されたもの。咲き始めの良い状態を写真に収めることができ、ほっと胸を撫で下ろす。

こんなに近くで育ったにも関わらず、自生スズランを見るのは初めて。今N H K朝ドラでやっている「らんまん」の植物学ではないが、見ると、「名前そのままやん!」と思わず呟いてしまうこの形状。スズの形をしたラン。静かに人知れず(知れてるが)咲いている姿に心が洗われる。

国指定天然記念物だそう。寒冷地に咲く花で、宇陀市は自生できる南限界地とされてきたが、最近では九州でも発見されたとか。生物の生きる力と生きていくための適応力に改めて気付かされる。少々暑くても生きていく術を身につけたか。

それで思い出したのが、最近ハマっている生物学の本。ニール・シュービンという生物学者の『ヒトのなかの魚、魚のなかのヒトー最新科学が明らかにする人体進化35億年の旅』。とても面白いので是非読んでもらいたいが、一言で言うと、魚の体にあるものの洗練された版が人の体にあって、人の体にあるものの原始的形体や機能も魚の体にあるということ。そして魚以前の生き物たちにも(実際、彼はヒトの椎間板の歴史を5億数千万年前のナメクジウオの脊索までたどる)。その本の中に、「これまで生存したすべての種の99%以上がいまでは絶滅してしまっていて」とある。と言うことは、今現在地球上に生きている生物はすごい!しかも少々の環境変化にも耐えて自生し続けている向渕の、そして九州のスズランたちは、もっとすごい!

などと思い巡らせながら散策していると、なんと、踏みかけた枝の一つが、ニョロニョロ!これまた1億年以上前から地球上に存在していたというヘビ。なるほど、カモフラージュで敵から身を守る術で絶滅の危機をクリアしてきたのか!と、一日で二度美味しい生物学の日となった。

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